「起訴」と「訴追」の違い [法解釈編]

kotobank デジタル大辞泉 – 訴追

  1. 検察官が刑事事件について公訴を提起し、それを遂行すること。
  2. 弾劾の申し立てをして裁判官・人事官の罷免を求めること。
  3. 検事総長などが司法警察職員に対する懲戒処分を求めること。

とあるが、1については全くの「バカ丸出し」である。

なぜなら、「馬から落ちて、落馬する」といってる事になるからである。

刑事訴訟法
第二編 第一審
第二章 公訴

  • 第256条
     公訴の提起は、起訴状を提出してこれをしなければならない。

    (第2~第6項省略)

「公訴の提起」を端折って「起訴」としているのは、ほぼ間違いない。

刑事訴訟法
第二編 第一審
第一章 捜査

  • 第194条

     検事総長、検事長又は検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示又は指揮に従わない場合において必要と認めるときは、警察官たる司法警察職員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会に、警察官たる者以外の司法警察職員については、その者を懲戒し又は罷免する権限を有する者に、それぞれ懲戒又は罷免の訴追をすることができる。

    ○2 国家公安委員会、都道府県公安委員会又は警察官たる者以外の司法警察職員を懲戒し若しくは罷免する権限を有する者は、前項の訴追が理由のあるものと認めるときは、別に法律の定めるところにより、訴追を受けた者を懲戒し又は罷免しなければならない。

この条文から読み取れる「訴追」とは「懲戒又は罷免を求めること」であり、「処分対象者の所属機関へ処分を請求すること」となる。

刑事訴訟法
第二編 第一審
第二章 公訴

  • 第247条
     公訴は、検察官がこれを行う。
  • 第248条
     犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

「予定表を見て『特別急行券』を必要としない時は、『乗車券』も購入しなくて良い」といっているだけ。

つまり「夜行バスの乗車券を購入した時は…」ということ。

当然「特別急行券」を購入するなら「乗車券」も併せて購入しなければ電車には乗れない!

第248条では、「訴追」対象者は「犯人」としか読み取れず、余りにも漠然としすぎているが、しかし法律であり、第194条では訴追対象者が明確に書かれているのだから、したがって、意図的にそうしていると解釈すべきである。

検察庁法

  • 第六条
     検察官は、いかなる犯罪についても捜査をすることができる。

    ○2  検察官と他の法令により捜査の職権を有する者との関係は、刑事訴訟法 の定めるところによる。

結局、刑事訴訟法第248条では「訴追対象者」は「懲戒又は罷免に処すことが可能なすべての者」と解釈すべきである。

現実的には、国家機関の職員、所謂国家公務員や公共性の高い機関の重要な役職にある者に限定されてしまうことが多いだろうが。

結局、第194条では、

  • 「検索官」の指揮に従わない(恐らくは買収された)警官に対し「懲戒又は罷免」を要求し処分すること。

を謳い、第248条では、

  • その職務にそぐわない者を懲戒又は罷免にするよう所属機関に対し、「公訴の提起」に加えて、求ること。

と謳っていると解釈すべきである。

しかし辞書を引いて判るように、文系の連中は「訴追の遂行」こそが「公訴の提起」の実体であるかの如く書いているが、明らかな間違いである。

「訴追」と「公訴を提起」が同じ意味なら、第248条は「落馬を望まない時は、馬から落ちなくても良い」と同類になってしまうから、この条項においても「訴追」は「懲戒又は罷免」処分のことと考えるべき。

例えば、犯罪現場に潜り込もうとしていた記者を「警官」が突き飛ばして怪我をさせた場合、その警官は「検察官」の指揮に逆らった訳ではないのだから「懲戒又は罷免」処分に当たらないが、日頃から粗暴な警官であれば「暴行・傷害罪」で「起訴」し、さらに「懲戒又は罷免」処分しなければならない、かもしれないし、「記者」が最も重要と思われる証拠の上を歩いていたとしたら、「過失傷害罪」のみの適用で「訴追」は必要ないかもしれないし、何もしなくても良いかもしれない。

裏を返して、「『訴追が必要』ならば、必ず『公訴を提起』しなければならない」という事は、「検察官」の「好き嫌い」ごときで「警官」を「懲戒又は罷免」できないという事であり、裁判に掛けるだけの「証拠が必要」と謳っているだけ。

一方で、なぜ「訴追するには公訴の提起が必要」かといえば、「検察官」といえども「国家公務員」であり、「守秘義務」が課せられているので、安易に、罪状などを伝えると「ミイラ取りがミイラ」と成りかねないので、「公訴の提起」により「誰もが知るところ」とした上で、「関係機関へ伝達」することが望ましいということ。

よって、「訴追」は「公訴の提起」とは全くの別物であるから、「馬から落ちて落馬した」とはならず、第248条にはなんら文法上の問題はない。

したがって語学者は「馬下」である。

まとめると、

起訴
民事・刑事その他の法律を犯した者に罰を与えるため裁判に掛けること。「公訴を提起」すること。
訴追
その職務にそぐわない者を「懲戒又は罷免」にするよう所属機関に対し、「公訴の提起」に加えて、求ること。
結局、「起訴」と「訴追」の違いは、

  • 「起訴」は裁判所へ申し立てる。
  • 「訴追」は処分対象者を任命した機関へ請求する。

また罰則の上限が、

  • 「起訴」は「死刑」。
  • 「訴追」は「免職」。

となる点である。

また「起訴」して有罪が確定しないと「訴追」できない訳ではなく、「懲戒又は罷免」処分することと、「刑事罰」を科すことは、独立して判断されるということだから、「政治資金規正法」で無罪になったことを根拠に「小沢一郎」を「訴追」しない理由にはならない。

結論:

辞書の編纂者たちは、一項目に何週間も掛けない!

(2013/09/18 11:22)「特別急行券」の下り、修正と加筆。

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投稿者: りする?猫文

世相を理数る?猫文