汚名挽回と汚名返上

「汚名挽回」は間違いで、正しくは「汚名返上」だそうだが、

「返上」とは、身分が下の者から上の者へ返すことなのだから、「汚名」即ち「汚いもの」を位の低い者から位の高い者へ「突返す」という意味になる。

例えば、同僚に濡衣を着せられた場合、同僚の裏工作の証拠となる物の類を、

部下の管理すら、ちゃんと遣れんのか!

と言いながら、上司の机に叩き付けるようなものだろう。

現実にこんな事をやったら左遷?
決して目上の者に突返しては、いけません。

「汚名」は「雪ぐ」ものであり、「汚名を雪ぐ」が正しい表現。

ところで、「雪ぐ」は何と読むのだろう。
「そそぐ」では「注ぐ」と紛らわしく、「汚名を注ぐ」となり、

「有る事、無い事、言触らして失職に追込む」

と、意味ありげな句が出来上がってしまう。

歴史的には「すすぐ」が古いようだが、「すすぐ」を知らない世代が「注ぐ」との混同を嫌って「汚名返上」を用いるようになったのだろう。

裏を反せば、「すすぐ」の読みしかなかった時代には「汚名返上」は無かった!

果たして真偽のほどは?

話を戻して、「返上」とは本来、与えられた役職や鑑札で、当然、上から下の者へ与えられたものを、病気や怪我その他の理由で職務を果たせなくなったので、自ら願い出て返すことをいうのである。

「汚名」とは上役の権利でも所有物でもないのだから、これを「返上」するということは、

「空から降ってきた鳥の糞を上役に擦り付ける」

ようなもの。

仮に、上役から犬の糞を投げつけられても

「その様な御無体はご容赦下さい」

と、
お願いするしかないのが身分が下の者の定め。

決して投げ返していいものではありません。

結論:

「汚名返上」は、無能無知な上司や世間への当て擦りに使いましょう!

追伸:

「汚名挽回」のことがすっかり抜けていた。 ので、こちらで失態挽回。

言葉の間違い, 濯ぐ, 混交表現
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投稿者: ごねる? 猫飯

語彙も誤謬もごねる?猫飯